2022年6月30日

弁護士費用保険(権利保護保険)

弁護士 金田恒平

弁護士費用保険発足の経緯

交通事故などのトラブルに遭われたとき、任意保険に加入していれば、大抵のことは保険会社が窓口となって対応してくれます。
しかし、場合によっては、損害額や過失割合などの法律問題を巡って当事者間で折り合いがつかず、紛争に発展するケースもあります。

保険会社は、弁護士法の関係で、法律問題を取り扱うことができないため、弁護士に相談したり、示談交渉や訴訟の依頼をする必要が生じます。
その場合、法律相談料を始め、着手金、報酬金、日当、実費などの弁護士費用がかかります。これらの弁護士費用は、必ずしも安いものではありません(弁護士費用の詳細は、弊所ホームページ「弁護士費用のご案内」をご参照ください)。

依頼者にとって弁護士費用は大きな不安であり、そのため、弁護士に頼ることを躊躇される方も少なくないと思われます。
また、いざ弁護士を探そうと思っても、一般の方々にとって、縁遠い存在である弁護士へのアクセスは容易ではないと思います。

そのような問題を解決するため、日本弁護士連合会(日弁連)は、保険会社及び共済協同組合と協力して、法律相談費用や弁護士費用などが保険金として支払われる弁護士費用保険(権利保護保険)を発足させました。

弁護士費用保険(権利保護保険)は、弁護士へのアクセスを容易にし、弁護士費用の負担軽減を図ることができる画期的な商品です。

日弁連では、弁護士費用保険(権利保護保険)制度の運営と発展のために、日弁連リーガル・アクセス・センター(日弁連Legal Access Center、通称「日弁連LAC」)を設置し、各地の弁護士会との連絡調整や、保険会社及び共済協同組合との協議などの活動を行っています。

弁護士費用保険(権利保護保険)販売件数とLAC取扱件数は年々増加しています。特に、従前は費用倒れになる可能性が高かった少額物損事件の取り扱い件数が飛躍的に増加しています。

弁護士費用保険の概要

弁護士費用保険(権利保護保険)とは、保険会社や共済協同組合が販売する保険の契約者が事故の被害に遭い、弁護士に法律相談、交渉、訴訟などの依頼をした場合、その費用が保険金として支払われる保険です。

自動車保険に付帯されていることが多い「弁護士費用等補償特約」は、弁護士費用保険(権利保護保険)の代表例です。

保険金額は、自動車保険に付帯されている「弁護士費用等補償特約」の場合、法律相談費用は1事故あたり上限10万円弁護士費用(着手金、報酬金、日当、実費など)は1事故あたり上限300万円とされていることが多く、物損事件や頸椎捻挫(むち打ち)を始めとする多くの事件(死亡事故や後遺障害を伴う重傷事故など、損害賠償金額が高額となり、訴訟などの複雑な事件となる場合を除きます)は、上限の範囲内で弁護士費用を賄うことが可能となります。

従前は、被害金額が比較的少額の事故などでは、弁護士に依頼すると費用倒れとなる可能性があることから、解決内容について納得が行かなくとも、弁護士への依頼を躊躇してしまう場合が多くありました。
そのような場合に、弁護士費用保険(権利保護保険)を利用するメリットがあります。

また、「弁護士費用等補償特約」を使用しても、保険料は値上がりせず,等級が下がらないことも大きなメリットです。

日弁連と協定を締結している保険会社

日弁連と協定を締結している保険会社との契約者(商品によっては契約者のご家族)は、事故に遭われた際、日弁連及び各地の弁護士会を通じて弁護士の紹介を受け、弁護士費用の支払いを受けることができます。

すでに弁護士の知り合いがいる方は、その弁護士を通じて弁護士費用保険(権利保護保険)を利用することも可能です。

2022年1月1日現在、日弁連と協定を結んでいる保険会社及び共済協同組合は、次のとおりです。(50音順)

あいおいニッセイ同和損害保険株式会社、AIG損害保険株式会社、au損害保険株式会社、キャピタル損害保険株式会社、共栄火災海上保険株式会社、ジェイコム少額短期保険株式会社、セゾン自動車火災保険株式会社、全国共済農業協同組合連合会(JA共済連)、全国自動車共済協同組合連合会、全国労働者共済生活協同組合連合会(こくみん共済 coop〈全労済〉)、ソニー損害保険株式会社、損害保険ジャパン株式会社、大同火災海上保険株式会社、Chubb損害保険株式会社、中小企業福祉共済協同組合連合会、チューリッヒ保険会社、ミカタ少額短期保険株式会社、三井住友海上火災保険株式会社、三井ダイレクト損害保険株式会社、楽天損害保険株式会社

なお、日弁連と協定を締結していない保険会社に加入している場合、日弁連からの弁護士紹介は受けられませんが、弁護士費用保険自体を利用することは可能です。

交通事故以外を対象とした新商品の登場

弁護士費用保険(権利保護保険)は、自動車保険の特約として販売される例が多いですが、近年、交通事故以外の民事トラブルや刑事事件などに対象範囲を拡大した新商品も登場しています。

保険に加入されるときは、トラブルに遭って弁護士を必要とする場合に備え、「弁護士費用等補償特約」を付けることをお勧めします。弁護士費用に特化した単独保険も販売されています。

また、自動車保険だけでなく、火災保険、傷害保険、旅行保険などにも、弁護士費用が支払われる特約が付いている場合がありますので、一度、加入されている保険の特約を確認してみることをお勧めします。

 

 

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