事業承継と相続
法律ミニ講義 2015年6月
弁護士 河原﨑友太/Yuta KAWARASAKI
今回は,2014年12月6日に開催された当事務所の顧問先団体様向けセミナー「事業承継と相続~親から子へ」を題材に,事業承継の基本的な考え方を紹介した同講座の冒頭部分を,法律ミニ講義としてお届けします。
第1 事業承継とは
今日は,主に個人事業主の方を対象に事業承継と相続の話をしたいと思います。
特に個人事業を営んでいらっしゃる場合には,被相続人の財産=事業資産ですから,きちんとした対策を考えておかないと,いざ相続が発生したときに,事業資産が相続人間で分散してしまう場合があるわけです。
たとえば,遺産となる財産が自宅兼店舗しかないような場合に,この不動産を売却して相続人間で分配しなければならないといった事態が生じかねないわけです。
そうすると,事業継続なんて無理ですね。店舗がなくなるわけですから……。
そこで,あらかじめ,きちんと事業承継と相続の問題を考えておきましょうというのが今日のテーマです。
第2 事業承継の方法
たとえば,自宅兼店舗があって,これを承継したい場合,その主な方法は,売買,贈与,相続の3つになります。
1. 売買と贈与
このうち,売買と贈与は生前にできるという点においてメリットがあります。
他方で,売買に関しては購入費用を要する点が,贈与に関しては基礎控除額の低い贈与税がそれぞれネックになります。
つまり,生前にできるので安定した承継が可能な一方で,それなりの費用負担があり得るということになります。
2. 相続
相続は,生前に承継させらないというデメリットがありますが,相続税の基礎控除額が大きいなどのメリットもあり,親族間での事業承継に関しては,相続が一般的かと思います。
なお,相続税の基礎控除額については,法改正がありましたので注意が必要です。
では,何も対策をとらずに相続をさせるのかといえば,冒頭で申し上げたとおり,対策が必要ということになります。
遺産分割というのは,解決までに長期間を要することも多々あります。遺産分割協議に長期間を要している間に,相続税の申告時期がきてまとまったお金が必要となることもあります。この場合,被相続人の遺産からの支出ができずに自分で相続税を用意する必要性に迫られることもあるわけです。
したがって,相続による事業承継を検討する際には,必ず,被相続人が事業承継を意識した遺言書を作成すべきということになります。
(セミナー・公開講座でお話しした,この続きは……)
第3 遺言書について
- 遺留分とは……
- 特別受益とは……
- 寄与分とは……
- 望ましい遺言書は…
第4 相続税対策について
- 相続税の法改正について……
- 相続時精算課税制度とは……
- 生命保険を活用しよう……
以上